CAEユニバーシティ定期講座 受講後インタビュー 独立行政法人和歌山労災病院 脳神経外科 河野健一様 〜「継続的、体系的に学び、理解度に厚みが増しました」〜

今回は和歌山労災病院 脳神経外科 河野健一様にお話を伺いました。河野様は普段、医師として臨床現場にてご活躍されている傍ら脳動脈瘤の流体解析にも取り組まれていらっしゃいます。CAEユニバーシティの定期講座も積極的にご利用されて知識を深め、各種学会でも発表をされています。


河野健一 様

(以下 敬称略とさせていただきます。)

河野様のお仕事の内容についてお聞かせ下さい。

河野 普段は脳神経外科医として診察や手術など臨床を行っています。

医師でありながら解析にも取り組まれている方というのは少ないような気がしますが解析に取り組まれた経緯を教えていただけますか?

河野 脳動脈瘤の流体解析は論文では見ていましたが、3年半前に自分でも行ってみようと思いANSYS社の流体解析ソフトを導入して始めました。最初はソフトの動かし方がわからず、先行研究を行っている先生に操作方法を伺ったり、無料のセミナーなどを受けたりして、少しずつ解析ができるようになりました。私自身としては臨床が仕事ですので、流体解析の研究は趣味のようになっています。この分野の研究は工学部の先生と臨床の脳外科の先生が組んで行うか、工学部の先生が単独行っている事が殆どです。臨床をしながら流体解析も行っているというケースは多くはありません。そういう中で3年半くらい続けてきてようやく工学部の先生と同じ土俵でディスカッションできるようになったと感じています。

そのような中でCAEユニバーシティの講座も受講され始めたのですね?

河野 はい。ここまでくるには、流体力学や数値流体計算の基礎知識を身につけることも必要でした。ANSYS社のソフトで解析する場合、脳動脈瘤とかその対象を限定してしまえば、結果が正しいかどうかはともかく、解析の作業自体はそれ程難しいことではありません。ただその作業を本当に中身を理解してやっているかというと、話は別になります。でもそこまでいかないと工学部の先生と深いディスカッションは出来ませんし、正しい手法での研究ができません。そういう中で、CAEユニバーシティの講座は私にとっては大変勉強になると感じています。臨床を行いながら、ゼロから流体力学や数値流体計算について一人で勉強するのは大変ですので。

ありがとうございます。河野様は同じ講座を複数回受講されることもありますよね。

河野 1回の受講で全て理解できるわけではありませんし、しばらくすると内容を忘れてしまいます。そういう意味で流体力学基礎講座やCFD原理講座は2回受講しました。受講する度に理解できる範囲は多くなっています。私は上司の理解に恵まれ、臨床を行いながらも、複数の講座を受講することができていますが、臨床医がそのような環境に恵まれることは少ないかもしれません。

やはり継続が重要ということでしょうか?

河野 そうですね。継続して少しずつでも積み重ねていくことが重要と考えています。臨床とは異なり、流体解析の研究は、私にとってその基礎を学ぶ環境が日常としてあるわけではありませんので、自分で継続していく意志がないといけません。ただ、本などで一人で勉強するのは難しく、講座を繰り返し受講することで、継続のためのペースメーカーにしているようなところがあります。また、講座を受講する度に毎回新しい発見があり、他の講座を受講すると、それぞれが繋がってきて理解の厚みが増しているような気がします。

つながってきますか?他の講座と。

河野 そうですね、CAEユニバーシティだけに限らず、ANSYS社、サイバネット、日本機械学会などが行っている講座を受講しました。それらを寄せ集めていくと自分にとって少しずつ積み重なって勉強になっていると思います。違う角度から色々見て学ぶことは面白いですしね。

河野様からみたCAEユニバーシティの魅力、他と比べて良い点などはございますでしょうか?

河野 ひとつは少人数であることでしょうか。質問がしやすく、その分、理解しやすいと思います。他で受講したものの中には50人とか受講人数が多いものもあり、そのような場合はなかなか込み入った質問ができません。また、FEMの実験の講座を受けましたが、その講座はすごく良かったです。実際に手を動かして理論と実験の結果が合わないことを実感することを学べました。そのような講座は他にはないと思います。流体解析の実験講座ができたら受講してみたいと思っています。

講座参加者にも時々いらっしゃるのですが「解析専門なので実験は全くやらず、出た数値だけを渡されるのでその値の背景もよくわからないまま、ただ数字をなんとなく比較している。合っているのか合っていないのかも、いまひとつぴんと来ない」ということでただ出てきた数値だけを見ている。

河野 解析を行っている方も機会があれば実験も経験された方がいいと思います。FEM実験室で学べますが、実験結果と計算結果の差がどこに起因し得るのかを実感することは重要だと思います。解析結果の妥当性を検討する為には、実験結果との比較が欠かせません。両方を一人で行うことは現実的ではないと思いますが、数値解析と実験に関して、お互いの領域をある程度知っているということは重要と思います。

分業化を行った結果、解析部隊と実験部隊が完全に分かれているというケースも間々あるようです。そのような方にとっては「FEM実験室」のような講座は、双方の理解を深めるのに役立つかもしれません。新しくリリースする流体実験室では、まずは簡単な流体現象を題材とし、理論や予測される値との比較・考察を通して流体力学についての理解を深めることを目的としたいと考えております。

河野様にはお忙しい中、貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございました。今後もCAEユニバーシティではご自身のスキルアップをお考えの方、人材育成を検討中の方などにとって有効な様々なコンテンツをご提供していきたいと考えております。

参考論文
Kono K, Terada T: Hemodynamics of 8 different configurations of stenting for bifurcation aneurysms. AJNR Am J Neuroradiol. 2013 Oct;34(10):1980-6.
http://www.ajnr.org/content/34/10/1980.full.pdf